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和風のロゴだけじゃない!「家紋」をモチーフにしたロゴ実例
その為、“和”のイメージや雰囲気と関係無い会社やお店・ブランドの場合に「家紋」モチーフのロゴにしてしまうと、“和”の雰囲気に寄りすぎて『イメージと合わない…』となってしまう事があります。
では、“和”に関係の無い会社やお店・ブランドの場合は、「家紋」をモチーフにしたロゴが作れないかと言うと…実はそうでもありません。
“和”に関係が無くても、「家紋」をモチーフにしたロゴデザインはたくさん作られています。
今回は、「家紋」の良さも残しつつ“和風”になりすぎないロゴ作成のヒントとなるような、「家紋」がモチーフとなっているロゴの実例を集めました。
ぜひ、ロゴ作成の参考にしてみてください。
「家紋」モチーフのロゴ実例
くら寿司
画像引用元:くら寿司 | 回転寿司
去年から、回転寿司チェーン「無添くら寿司」のロゴが新しいデザインになっていた事は、ご存知だったでしょうか?
新ロゴは、「ユニクロ」や「セブン-イレブン」などのロゴを手掛けた事で有名なクリエイティブディレクター・佐藤可士和(さとう かしわ)氏がデザイン。2020年1月20日から新ロゴが導入されています。
新ロゴは力強く“和”を感じさせる「江戸文字」の“くら”と、シンプルで読みやすい「ゴシック体」の“KURA”が組み合わせ、グローバル展開を意識した「文字ロゴ」になっています。
そしてもう一つ目を引くのが、新しく作られた「くら寿司」の紋章。
丸に“く”が向かい合ったようなこのデザインは「なまこ壁」(土蔵などに用いられる日本伝統の壁塗りの工法の一種)がモチーフになっているとの事。蔵をイメージした「くら寿司」の店舗の外壁にも、「なまこ壁」をイメージした柄が描かれていますね。
「くら寿司」の紋章は「家紋」を意識したデザインではありますが、円と直線の非常にシンプルなシルエットになっているので、“記号”のようにも見えます。
「家紋」の中にも、実は“円と直線だけ”のような極めてシンプルな図案はいくつかあります。ですが、「家紋」と言えば装飾的な図案が一般的なので、多くの方は「装飾的な家紋=和風」のイメージを持っているかと思います。
反対に、極めてシンプルな図案は一般的な「家紋」のイメージではない為、現在のロゴデザインに近い印象になり、「シンプルな家紋=モダン」のイメージとなります。
三井物産株式会社
画像引用元:360°business innovation | Corporate Brand - 三井物産株式会社
佐藤可士和氏が手掛けた「家紋」がモチーフのロゴを、もう一つご紹介しましょう。
2014年、日本の大手総合商社である「三井物産株式会社」は今後の成長に向けた取り組みとして“三井物産ブランド・プロジェクト”を始動。それに伴い、全世界で使用する「三井物産」のロゴデザインを統一する事にしたのです。
これまでのロゴも新ロゴも、「丸に井桁三(まるにいげたさん)」のデザインは変わりませんが、何と無く垢抜けた印象になりましたね。
画像引用元:商いの大理想を新たな店章に託して | 三井広報委員会
「井桁」の線が細くなった事と「三」が入っていたスペースにゆとりが出来た事で“余白”が生まれ、すっきりとした印象になったのです。
旧ロゴのような「太めの線=余白があまり無い」場合は、“力強い”印象にはなりますが、野暮ったく見えてしまう事もあります。
ちょっとしたバランスの違いですが、“余白”の使い方で「おしゃれ」や「洗練された」デザインに見せる事が出来ます。その為、ロゴに限らず、“余白”はデザインを作る上で重要なポイントとなっています。
ちなみに「井桁」とは、井戸の縁(地上部分)を“井”の字型に木で組んで囲んだ構造物のことです。
JAL(日本航空株式会社)
画像引用元:JAL企業サイト
「JAL」と言えば鶴のシンボルマーク、通称“鶴丸”が印象的な航空会社ですね。
1950年代、国際線進出の際に“日本のイメージ、サービスを想起させるもの”として鶴のイラストを使用したポスターなどを作成した事が、「JAL=鶴」の始まりです。
そして“鶴丸”の由来となったのが、1956年に外国人旅行客用として作られた「旅のしおり」にあしらわれた鶴の家紋「鶴の丸(つるのまる)」です。
「旅のしおり」以降、搭乗券や時刻表などにも「鶴の丸」のデザインがあしらわれるようになり、そのデザインが好評を博した事から、“鶴丸”のシンボルマークが誕生しました。
“鶴丸”は「鶴の丸」の図案をシンプルにしただけのように見えるかもしれませんが、実は“シンプルにする”以外にもデザインの工夫があります。
鶴の家紋には、「鶴の丸」以外にも図案のバリエーションが複数あり、「鶴の丸」をシンプルなシルエットにしたような「光琳鶴の丸(こうりんつるのまる)」という紋があります。
画像引用元:鶴紋一覧 | 家紋のいろは
「光琳鶴の丸」は羽などの描写が省略されたシンプルなシルエットなので、「鶴の丸」に比べると“和”の雰囲気が薄く、モダンな印象です。
しかし、“鶴丸”と比べた場合は、何だか野暮ったさを感じますね。
“鶴丸”と「光琳鶴の丸」、どちらもシンプルなシルエットなのに違った印象を受けるのは、“シルエットのシャープさ”が関係しています。
“鶴丸”はくちばしが鋭く、首が細くスッキリとしていて、頭部のシルエットがとてもシャープです。両翼に入れられた鋭い“切れ込み”の線は翼を軽やかに見せると共に、力強く翼を広げている印象を受けます。
一方「光琳鶴の丸」は、全体的にシャープさの無いシルエットです。
両翼も“切れ込み”が無い為にのっぺりと重たい印象で、鶴というよりは鳩のようにも見えますね。
「家紋」のデザインには“シャープさ”が足りないので、そのまま使おうとするとデザインが古く見えたり、“いかにも和風”なデザインになってしまいます。
「家紋」のデザインをモダンな印象にしたい場合、ただシンプルにするだけでなく、“シャープなシルエット”を意識すると良いでしょう。
豊岡鞄
画像引用元:「豊岡鞄」「豊岡財布」「豊岡小物」オフィシャルサイト
「豊岡鞄」とは、「兵庫県鞄工業組合」が定めた基準を満たした製品につける事ができるブランドで、「兵庫県鞄工業組合」の商標登録です。
2006年11月、「地域団体商標」として特許庁に認定されました。
「豊岡鞄」が生産されている兵庫県豊岡市は、実は千年以上もの歴史を持つ鞄の産地です。
豊岡の鞄のルーツは、奈良時代から始まった「柳行李(やなぎこうり)」※。江戸時代には「柳行李」を豊岡藩の独占取扱品とした事から世に知れ渡り、生産が盛んになりました。
※コリヤナギを編んで作る、箱型でかぶせ蓋付きの入れ物。下写真は、明治時代に作られた革バンド付きトランク型柳行李の「行李鞄」。
画像引用元:「豊岡鞄」とは | 兵庫県鞄工業組合「豊岡鞄」地域ブランド委員会
大正以降は新素材による鞄の開発を行い、戦後高度経済成長を背景に鞄の生産が拡大。豊岡市は鞄の一大生産地に発展し、現在に至ります。
「豊岡鞄」のロゴは“鞄”がモチーフになっているのですが、どのあたりに「家紋」が使われているか分かりますでしょうか?
ロゴの元となったのは、「柳行李」の産業を発展させた但馬豊岡藩主・京極家の家紋「四つ目(よつめ)」です。
この紋は「目結紋(めゆいもん)」と言って、染文様の“絞り染め”がモチーフとなっています。
「四つ目」の中から1つの“目”を取り、そこに“持ち手”を付け、鞄のシルエットにしています。
ただの四角に“持ち手”だけ付けても鞄という事が分かりにくいですが、“目”の中心部分がちょうど“鞄の金具”のように見える為、鞄らしく感じられます。
「豊岡鞄」のロゴように、「家紋」の一部を抜き出してアレンジを加えたりすると、“家紋っぽさ”が薄れて、“和風”以外にも使えるようなデザインに出来ます。
“和風ロゴ”でよく使われる「家紋」ですが、工夫次第で「家紋」の良さを残しつつ、“和風”になりすぎないデザインにする事は十分可能です。
『家紋をモチーフにしたロゴにしたいけど、モダンなデザインにしたい!』という方は、ここでご紹介したデザインのポイントを踏まえてロゴ作成してみてくださいね。
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