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変わる反戦・抗議運動。「ロゴ」や「色」による呼びかけとは?
2022年2月24日に始まった、ロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻。
遠い国の出来事とはいえ、日本にとって決して“他人事”ではないこの軍事侵攻は、多くの人に衝撃を与えたのではないでしょうか。
今回は世界中の注目を集めているウクライナ侵攻に関して、2回に渡って反戦・抗議運動や、市民レベルで広がる支援の輪などをご紹介していきます。
反戦・抗議運動の今
「SNS」を使った反戦・抗議運動
ロシアによる軍事侵攻はすぐに多くの国々から批判の声が上がり、ロシアへの経済制裁が次々に発動。
さらに、ロシアに対して世界各国で反戦・抗議運動が起こっていて、多くの方がその様子をテレビや新聞・ネットの報道などで目にしているかと思います。
ところで、『反戦・抗議運動が昔と変わってきたな…』と感じた方はいるでしょうか?
何かを主張したり問題に対して声をあげる際には、これまではデモ活動を行うのが一般的でした。
ですが近年は、デモ活動に加えて「SNS」を使った反戦・抗議運動が盛んに行われるようになっています。
実際に、Twitterでは今回のウクライナ侵攻に関する反戦や抗議・ウクライナ支援を示すハッシュタグ(「#/ハッシュマーク」を付けた特定のキーワード)を含むツイートが、世界中で300万件を超えたのだそう。
ネット上の話とはいえ、それほど多くの反戦・抗議の“声”が上がったのです。
また、「SNS」のユーザー名の横に“ウクライナの国旗マーク”や、“青と黄のハートマーク”を付けるのも、「SNS」を使った反戦・抗議運動のひとつとなっています。
SNSユーザーはこれらのマークをユーザー名に付け加えることにより、ウクライナ侵攻への抗議やウクライナ支援の意思を表明したり、“一日でも早くウクライナに平和が戻るように”といった願いを表現しているのです。
マークによる反戦・抗議運動は、“ユーザー名にマークを付け加えるだけ”で良いので、参加するにあたっての心理的ハードルはデモ活動よりも低いです。
その為、『デモにはちょっと参加しにくいけど…反戦・抗議の意思は示したい!』といった人々にとって、参加しやすい反戦・抗議運動になっています。
「ロゴ」を使った反戦・抗議運動
近年の反戦・抗議運動は、「SNS」以外にも見られるようになりました。
それが「ロゴ」です。
最近では、広く人々に呼びかけることがある場合に「ロゴ」を活用する傾向にあります。
記事【ロゴで啓発活動!新型コロナウイルス感染拡大防止をロゴで呼びかける動き】や【コロナ禍を乗り越えるための活動 〜ロゴ編〜】でご紹介しましたが、コロナ禍初期には大手企業などが既存のロゴを使って“ソーシャルディスタンス”を呼びかける動きがありました。
「ロゴ」は様々な物に印刷されたり、あらゆる場所に設置されていて、人々の目に触れる機会が多くなるように活用されています。
その為「ロゴ」を活用して呼びかけを行うと、その呼びかけの内容が人々に伝わりやすくなるのです。
また、“人の記憶に残りやすい”という「ロゴ」の性質から呼びかけの内容が記憶に残りやすくなり、人々の意識や行動を変えるきっかけにもなり得ます。
今回のウクライナ侵攻でも、“ソーシャルディスタンス”の呼びかけの時ように、「ロゴ」による反戦・抗議やウクライナへの支援を示す動きがありました。
「色」を使った反戦・抗議運動
ウクライナ侵攻では、「色」使った反戦・抗議運動も起こっています。その「色」というのが、ウクライナの国旗の色である「青」と「黄」です。
ウクライナ侵攻後、「ロゴ」による反戦・抗議運動によって既存のロゴをウクライナの国旗色“ウクライナカラー”に変更しているものを多く見かけるようになりました。
ですが、“ウクライナカラー”になっているのは「ロゴ」だけではありません。
建造物のライトアップやSNS映えで人気の「花手水(はなちょうず/感染症対策で使用しなくなった手水鉢に色とりどりの花を浮かべたもの)」、コロナ禍で欠かせなくなったマスク、コーディネート(ファッション)などなど…。
身の回りの様々なものが“ウクライナカラー”に変更されたり“ウクライナカラー”を採用したものが登場したりしているので“青と黄の組み合わせと言えばウクライナ”と、すっかり定着したのではないでしょうか。
その為、“青と黄の組み合わせ”を見ただけで、自然に『ウクライナ侵攻に対する抗議や、ウクライナへの支援を表しているんだ』と受け取るようになったかと思います。
実はこの思い込みによって、とある“誤解”が生じてしまったケースがありました。
2022年2月27日、Twitterにて「在日ウクライナ大使館」が次のようなツイートをしました。
スカイツリーがウクライナカラーになりました!
そのツイートには、ちょうど“ウクライナカラー”にライトアップされたスカイツリーの写真が添付されていて、まさにウクライナを応援しているかのようでした。
ところがこの“ウクライナカラー”は、スカイツリーの3つあるライティングデザインのひとつ「粋」というオペレーションで、ウクライナ侵攻前からあったもの。今回のウクライナ侵攻に関連したものではありませんでした。
画像引用元:東京スカイツリー | ライティングデザイン
スカイツリーのライティングは時期的に“青と黄の組み合わせ”がウクライナを連想させてしまいましたが、当然ながら“青と黄の組み合わせ”の全てがウクライナに関連している訳ではないのです。
これは「ロゴ」にも言えることですが、“今だからウクライナカラーにしている”のか、それとも“元々青と黄のデザイン”なのか…元のロゴデザインを知らないと、スカイツリーのような“誤解”が生じてしまいます。
また、人々の反戦・抗議の意識が強い今、“色を変更した方のロゴの認知度が上がってしまう”といったデメリットが発生する可能性もあります。
人々が“ウクライナカラー”を意識しやすくなっている為、「ロゴ」を“ウクライナカラー”に変更した場合は目に留まりやすく、認知度が上がりやすい状況となっています。
「ロゴ」が人々の目に留まりやすくなるのは大きなメリットですが、“本来の色ではないロゴ”が人々に記憶されてしまうのは好ましくありませんよね。
「ロゴ」や「色」を使った反戦・抗議運動は参加しやすい反面、その扱いにはとても注意が必要なのです。
次回は、「ロゴ」や「色」を活用したウクライナ支援の実例をご紹介します。
お困りのことがございましたら、お気軽にこちらからお問い合わせください。